Registered 2022.01.10 Update 2023.05.21  技術習得:業務系アプリQ&A,独自開発

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ExcelデータをWebツールにコピペする作業

建設コンサルの間接部門に勤務していた時、技術部から3日間のお手伝い依頼が来ました。

発注側が新設したWebデータベースに今回の業務データを入れるというもので、元々は発注側で作業する予定でしたがいろいろあって追加発注分を受けたそうです。

作業自体は単純作業でExcelのデータを先方データベース(Web経由でアクセスできる)に登録するだけ。問題は入力フォームに1つずつデータを入れないといけないから時間がかかること。

技術的なことはしないという条件で作業を引き受けましたが、これがExcelの脅威を思い知る良い経験でもありました。

Excelデータをコピペできない理由が分かった

受け取ったのはExcelファイルとそれを紙に出力したもの。A4サイズで厚み2cmほどの出力紙をチェックシート代わりに作業をしていきます。

作業そのものは単純作業でしたが、何枚目かに入ったあたりで状況が一変。エラーが出始めました。

エラーの理由をまとめると以下のとおり。

フォントの違いなどどうでもいいくらい、その他が問題です。

構造物については「構造物シート」を参照し、Excelの入力規則で選択式入力ができる様式でしたが、数人でこのファイルを使う内にルールが崩れ、選択リスト式入力と手入力が混在。入力作業を行った人が確認を行わず、そのままになっている。

構造物などの距離を入れると地点番号が自動演算させる数式が入っている個所と、手入力している個所がある。

A4用紙1枚に数件のデータを表形式に表示、表をコピペして使い回しているはずだが、入力支援機能の入っている部分と手動入力が混在。

このような感じで、見た目だけそろったデータ部分の怪しい表に仕上がっていました。

担当者がExcelのデータ修正を繰り返すうち無口になっていく

修正するには基になった図面からデータ拾い直すしかなく、私は責任を負いたくないので上司の進言もあり、業務の担当者にデータを直してもらいながら入力作業をしていきました。

直しても何度でも出てくるエラーの数々。

上司は「これを使って設計していたら、もしくは納品後に発注者が登録作業をしていたら大変なことが起こったところだよ。この表だけでよかったね」などと呑気なことを言っていましたが、当の業務担当者は私が修正を持っていく度に口が重く、雰囲気まで暗くなっていきました。

作業が終わったのは4日目の15時ころ。上司から「今日は金曜日。時間までコーヒーでも飲んで休んでいなさい。今日の作業終わり」とうれしいこと言ってくれたのでコーヒーを飲みに休憩所へ。

私が席に戻ったころ、上司が先ほどの業務担当者の上司とヒソヒソ話をしている現場に遭遇。嫌な予感しかしない。

私の作業は終わったが

業務担当者の上司「大変助かりました。いや、君はよくやった。何でもないよ」と怪しいことを言いながら私の上司ともども退場するから不安感増大。

とりあえずあの作業で問題が発生したことは確定。

何となく原因を考察してみました。登録時にエラー画面を出しまくったから発注者のデータベースが壊れたか。いや、最後まで入力できたから動作不具合はないはず。ならばエラー検知が多くデータの不備がばれたのか。でも最終的には正しいデータを入力しているし、エラー連発は入力が苦手な担当者の責任すれば「よくありますね案件」で問題にはならないと思う。

上司が戻ってきて「ごめん、急ぎの作業ができたから」と残業指示。明らかに何かやらかした事確定。

悲劇はここから

残業時間に入り、同フロアにある会議室に例の業務担当者や関係者、役員などゾロゾロと入って行きました。

上司には「私たちは入らない。始まったら教えるよ」と来週やっても構わない作業をしつつ待つ。

全員が会議室に入り3分程度が過ぎたころ「なんで誰も気が付かないんだ!」と怒鳴り声が聞こえ、会議室が騒がしくなりました。

ここで上司がネタバレ。

あの表のデータを使って計算を行った箇所があり、納品間近の今、全部再計算しなくてはいけないとのこと。しかも発注側にもあのデータがある。

その後の展開は聞きたくないので聞きませんでしたが、修正等を行い納品はできたようです。

なお、残業理由は「来週あの部署は取り込み中になるから、今日のうちに渡したいものがあるため」です。後で当該部の部長さんが気を使って差し入れをくれましたが、最後まで面倒に付き合わされた感じです。

どうすればよかったのか

再発防止策として挙げるなら以下のよう感じですかね。

  1. 様式を作成するときに数式個所と手入力個所を分け、手入力個所に色を付ける。
  2. 手入力個所、入力規則設定箇所を選択後、右クリックメニュー[セルの書式設定]→[ロック]でロックのチェックを外す。
  3. シート名を右クリックし、「シ―トの保護」を選び、パスワード付きで保護する。

Excelのロック機能は「セルや行列を保護」することで、入力や変更の制御ができる機能です。

複数人が使うExcelファイルの場合、触ってほしくない部分に使います。

尚、パスワードをかけないと誰でもロックを解除できるので、今回の悲劇が起きた要因でもあります。要注意です。

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